業種の壁が溶ける動き|【日経】証券会社と地銀の連携
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昨日、野村ホールディングスと阿波銀行の包括提携の件を取り上げながら、SBIホールディングスなど、主要証券会社が地銀との連携が加速するという記事が掲載されていました。
金融商品の手数料が低下などで収益構造の変化が求められる証券会社と金利の低下で本業の利益が低下する地銀との連携は今後加速していき、業界の再編にもつながっていくと思います。
証券業界は、昔のようにインターネットが無かった時代に、株価の変動に対する要因の情報をかき集めていることが仕事だった証券マンの情報にお金を預けるというような感覚がありましたが、インターネットの普及で誰もが情報を瞬時に得られる時代になったので、証券マンと変わらない情報が得られるようになったり、AIの発達で過去のデータの解析や日々発信されるニュースも瞬時に価格に織り込まれるようになり人が情報を得て考えるよりも、コンピューターの処理の方がパフォーマンスが高いという状況になり、証券会社で人から買うという作業が少なくなっています。
地銀は、本業で貸し出し業務の金利で稼げなくなっているので手数料のビジネスを進めたいけれども、生命保険の販売では郵政グループのような無理な販売が明るみに出て売りにくくなったり、日本の貯蓄性の保険の手数料が低いので手数料の高い外貨建ての保険を販売にシフトすると為替リスクを伝えられていないというような声が大きくなったりして生命保険の販売では伸び悩んでいます。
投信の販売などの資産運用や相続関連の対策なども、高度化が進んでいるので、情報弱者に対して高い手数料の投資信託を勧めていたことが明るみになってきて大きくは伸ばせなかったり、相続関連も分析をしたり課題を見つけ対策をするという機能がないのでこちらも伸び悩んでいまうす。
そんな両者が手を組んでいくという報道ですが、AIの発達、金利の低下などの要因は連携しても変わらないので問題の解消にはなりません。
しばらくは地銀の顧客リストの情報弱者に証券会社がアプローチするということが続くかもしれません。
しかし、私のような中小零細企業が考えておきたいのは、企業の財務状況を分析して仕事をしてきた証券会社の人が個人の分析をして最適解を求めだすと資産形成に携わる業界の形が大きく変わっていくことは捉えておきたい点です。
日本証券アナリスト協会の学びでも個人の資産を時価のB/Sで考えてコンサルをするという内容の学びがあります。
どの資産でも、資産単体で見ると最適だと思われることが、ポートフォリオで見ると最適ではないということがあります。
資産形成をポートフォリオで見てコンサルしている業界は、不動産業界、保険業界、証券業界、金融機関でもほとんどなくごく一部の人間が行っています。
証券会社と地銀の連携が増えると、そこから淘汰が始まるでしょうから、全体のレベルは底上げされます。
一つの仕事に特化した時に証券業界のようにテクノロジーやAIに仕事を奪われていくという状況になったり、ポートフォリオで見たら最適ではない情報を単体の資産しか見れないばかりに最適と勧めてしまい顧客の信頼を損なうという状況が生まれると思います。
中小零細企業は、資本のある大企業に出来ない細かい業務や高度な技術を持っているなど、簡単には真似のできない尖ったものがないと、なかなか勝負には勝てないので、今回のようなニュースを見るたびに背筋の伸びる思いです。