日本郵政社長、不動産M&Aに「前向き」|【日経】地方消滅の著者が行う手腕に注目
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『地方消滅』は当時私も衝撃を受けた本でした。多くの人が知らない、考えていなかった、もしくは目を背けていたようなことを考えるきっかけになった本だと思います。
そんな増田寛也さんが日本郵政の社長になり、手腕が注目されるところですが、日経新聞に興味深い記事がありました。
日本郵政の増田寛也社長が
『M&A(合併・買収)を含めて投資を前向きに考えていく』、特に不動産事業について「M&Aや投資戦略で大きな柱に育てたい」
と語ったとのことです。
金融に依存した収益構造がかんぽ問題の遠因になったことも踏まえ、「常に多角化を考えないといけない」、「不動産を中心に成長を描くことを期待している」と。
郵便局が建つ都心の一等地を再開発して高層ビルを建てれば大きな賃料収入を得られる場合があり、「良い土地がいっぱいある。そこでの展開をもっと進めたい」
というコメントが掲載されていました。
この記事だけではすべてを読み取るということは不可能ですが、良い土地の上に建物を建てれば大きな賃料収入を得られるという発想が垣間見えました。
本来土地を持っている人の投資の選択肢として、現状、改善、建築、売却して組み替えというような選択肢があります。
良い土地があるからその上に建物を建てれば大きな賃料を得られると思っている方の多くが、建物の総事業費に対して賃料収入がどのくらいもらえるのかという初年度の比率を見ています。
この場合、賃料収入から得られるキャッシュフローと建物に対しての投資額を比べていく訳ですが、
利回り = キャッシュフロー / 投資額
という式になります。
よく見て頂くとこの式の場合、キャッシュフローがプラスの値の時は利回りは絶対にプラスになります。
投資をする上で家賃収入から得られるキャッシュフローがプラスなら、その投資がプラスなんていう甘い話があったら多くの方が成功します。
家賃収入から得られるキャッシュフローと投資額を比較しても、投資としての効率は見えないのです。
このような勘違いがアパート、マンション建築の現場などでも起こるので、多くの地主さんが失敗します。
日本郵政は上々会社なので、投資家はROEという指標を見ると思います。良い土地に建物を建てるとたしかにROEは上がるかもしれません。
しかし、それは家賃収入のキャッシュフローで純利益が増えるからではなく、純利益に対する不動産という純資産の額の比率が小さいからかもしれません。
上記は数字の観点でしたが、ビジネスの観点でも、土地があるから上でビジネスをするという意思決定プロセスも気になります。
本来ビジネスの観点でいうと売りたい商品やサービスがあってそれを売るためにベストな選択肢の立地、不動産を探すというプロセスの方が成功する確率は高いでしょう。
土地があるから上をコンビニにとか、店舗にという発想で建てた建物の失敗事例は全国にたくさんあると思います。
日経新聞の記事では、少しの情報しか読み解けませんでしたが、どのような手腕を見せてくれるのか注目です。