チャンスの捉え方 リスクとピンチは違う|投資対象の相場が下がった時に誤った判断をしない為に
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はじめに
今回は、『チャンスの捉え方 リスクとピンチは違う|投資対象の相場が下がった時に誤った判断をしない為に』ということをテーマに、動画でも、文字でも、お伝え出来る態勢をとらせて頂いています。
動画と文字情報は基本的に同じ内容になっていますので、お好きな方でご覧になってください。
動画で見たい方
文字で読みたい方
今週は、コロナショックの影響で、一週間で日経平均が3,318円下がりました。
この週間の下落率が16%だったそうなんですが、過去三番目の大きさだったようです。
さて、そんな中で今週多くの声を頂いた、「株価が下がったので、チャンスだと思って、株を買ったけど、そのままズルズルと下がってしまって大きく損をしてしまった。」なんていう方が多かったです。
株をやられた経験のある方ならこういう経験って結構あると思います。
今、株価が下がってるから、チャンスだと思って買ったけど、そのまま下げ続けて、大損してしまった。
売った後に、大幅に上がって、自分だけ損をしてしまったような気分になってしまうようなことや、あとは株価が下がった時に、チャンスだと思って、下がり続けてしまったから、更に株を買い増して例えば一株1,000円のものを持っていて900円の時に一株買って、そうすると、ニ株が950円に株価の平均を下げる作業、いわゆるナンピン買いをして失敗したなんていうケースも結構多いんじゃないでしょうか。
この方達とお話をしていて共通事項があったのが、このテーマになります。
このリスクということとピンチということを同じ土俵で扱ってるという方が多かったです。
リスクに関してはリスクとリターンの関係ですね。
ピンチに関してはピンチとチャンスなんて言葉を言ったりします。
このリスクとリターンとピンチとチャンスこの言葉を同列で考えてしまったというようなケースが多かったです。
リスクとリターンとピンチとチャンスを同じ土俵に上げてしまったという方が、ご相談いただいた中では多かったです。
なので、このリスクとリターン、ピンチとチャンスについて考えてみたいと思います。
リスクとリターンについては、このような表を見たこと、ある方もいらっしゃると思います。
縦軸がリターン、横軸がリスクです。
国債はローリスクローリターン、不動産はミドルリスクミドルリターン、株はハイリスクハイリターン、なんてことを聞いたこと
ある方もいらっしゃるのではないかと思います。
プロで、よくこの図表を使って説明してる方もいるんですけども、この図表をちゃんと理解してる方ってのは、1割もいないんじゃないかなと思います。
このリスクとリターンを概念だと思ってる方が、プロの方でもとても多いんです。
しかし、一般的には、これは概念じゃなくてちゃんと単位があります。
ちなみに、このリスクとリターンの単位って皆さんご存知ですか?
このリスクとリターンの図表を見たことがあるよという方は多いんですが、このリスクとリターンの単位が分かってるよという方は
ごく僅かになります。
リスクとリターンで、何の単位を取るかというところもありますが、一般的にはこのリターンに関しては期待収益率、リスクに関しては標準偏差をとることが多いかと思います。
リスクは、色々なリスクがあり、標準偏差だとかベータだとか、色々ありますけれども、リスクとリターンの関係を考える時には、
標準偏差が多いんじゃないかなと思います。
ちなみに、この期待収益率は、次のようになります。
Ⓐの収益率 × Ⓐの起こる確率 + Ⓑの収益率 × Ⓑの起こる確率 + Ⓒの収益率 × Ⓒの起こる確率 = 期待収益率
状態がA、B、Cとあったとして、このA、B、Cは、Aが好景気の時、Bが平常の時、Cが不況の時だとします。
Aが儲かったとき、Bが普通の時、Cが儲からない時、むしろ損した時、というように考えていただくと分かりやすいかなと思います。
予測する状況が、今回は3個でしたが3個以上ある場合には3個以上あっても当然構いません。
この起こる確率っていうのは、自分で思っている確率になりますので、自分がどれだけこの状態に期待をしているかということになります。
ビタッと当てられる、予言ができるようであれば、期待収益率を考える必要もないという所になります。
ちなみにこの予言ができる方っていうのは、世の中に一人もいません。
この将来の結果というものを当てられるようであれば、その方はそれだけで億万長者になっています。
この式によって算出されたのが、期待収益率です。
ちなみに村上ファンドの村上世彰さんの生涯投資家という本の中でも、この村上さんが使っている指標、何を基準に投資を考えてるかは、この期待収益率を基準に考えているということを書いていました。
で、リスクとリターンの関係のリスクの話に入ってきたいと思いますが、リスクに関しては、標準偏差というものを使います。
標準偏差というのは式で言うとこのようになります。
Aの起こる確率×(Aの収益率ー期待収益率)二乗+Bの起こる確率×(Bの収益率ー期待収益率)二乗+Cの起こる確率×(Cの収益率ー期待収益率)二乗=分散
というものになります。
そこから、ルート分散をしたものが標準偏差といわれるものになります。
これがリスクと言われるものですね。
この標準偏差というものが何を表しているかというのはこのグラフのようですね。
このAとBとCの振り幅が大きければ、大きいほどリスクが高い、標準偏差が大きいということです。
儲かるパターンと損するパターンの振り幅です。
例えば100万円を投資するとして、Aの状態では200万円儲かる、Cの状態では300万円損するという状態は、すごく振れ幅が大きい状態です。
この状態よりもAの状態だったら、10万円儲かる、Cの状態だったら5万円損するというような投資だったら、こっちの投資の方が投資としてリスクが少ない、標準偏差が小さいということです。
なので、この振り幅が少ない方が、投資としては良い投資だと思う投資家が多いです。
自分が思うその投資に対して、どれだけリターンがあるかという期待の期待収益率、自分が思うAの場合とかCの場合の時の振れ幅がどれだけあるかという標準偏差、これがリターンとリスクです。
期待収益率は、収益率という効率、標準偏差というの振れ幅です。
一方、ピンチとチャンスというのは概念の話です。
前提条件としてピンチとチャンスというのは、過去の結果に対しては今現在の状態を表すことです。
期待収益率と標準偏差は、未来を予測してどうなるかという話だったんです。
ここが大きく違うということもありますね。
あと、このピンチってのは当事者だから起こります。
当事者じゃなかったら、ピンチではないということですが、当事者ということを考えるとピンチなのは、自分が今現在置かれてる状況なので、目標と今現在に対して乖離を感じている、やりたいことと今現在に乖離がある、理想の状況と今現在に乖離がある。
だから、ピンチだと感じてるんですね。
ということは乖離をピンチの時点で、乖離を知ることができてるんです。
この乖離は埋めればいいだけの話なので、この乖離に気付けたこと自体がチャンスであったりもします。
今現在の状態と理想の状態を埋める手段がわかると、自分だけじゃなくて、他の方にも再現ができたりします。
これが再現できると、色々なビジネスにもつながっていったりするわけです。
だからこのピンチは、目標に対しての現在がm何か乖離を感じることができているのであれば、それ自体チャンスだという考えにもなります。
このような発想で、ピンチとチャンス、概念の部分を考えていくわけです。
今日のテーマのピンチとリスクは違うという話でしたが、このリスクに関しては、自分が将来期待する収益率に対して、どれだけの振れ幅があるという未来予測の話です。
過去の状況、今現在の結果から、今現在どういう状態を示しているのかというのがピンチになりますので、リスクとピンチは違う状態なということをしっかりと考えていただくといいかなと思います。
この過去の結果から、今現在の状態がピンチ、要は目標と今現在乖離があるという状況で、リスクがあるからリターンということは直接繋がらず、リスクの裏返しがリターンだからリターンが取れるということにも直接繋がるというわけではないと考えていただくと、投資をする時に何か値下がりをしたから、それが必ずしもチャンスだというところに結びつかないはずです。
このようにリスクとピンチを使い分けて頂くと、しっかりと検討している投資自体が本当に期待できるのかどうなのかっていう判断ができるんじゃないかなと思います。
期待収益率とか標準偏差は、少し難しい話なので、完全に理解はできてなくてもいいんですけれども、こういう考えがあるよというのは知っておかないと、ピンチとチャンス、リスクとリターンなんてことは安易に使いがちな言葉で、間違えることなく自分の意思決定ができるんじゃないかなと思います。